【戦国】黒田官兵衛の黒田氏は近江が発祥なのか?

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 滋賀県長浜市木之本町黒田には黒田官兵衛の祖が発祥地と推定される黒田氏館があります。現在は地区の集会所になっていて遺構は特に残っていませんが、来年度の大河ドラマに向けて看板や幟などが立ち並んだりと盛り上がっています。

 

019kurodayakata-4『2014年度大河で盛り上がる?』

 

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黒田氏館は黒田氏発祥の地なのか?

 「やれ播磨人だの、近江人など・・・」とは、漫画「センゴク」の中での黒田官兵衛のセリフです。官兵衛が近江人の血を引くことを強調していますが、官兵衛が近江の流れを組むというのはどこから来たのでしょうか。

黒田氏の系譜

 黒田家譜によると、

 

近江源氏佐々木氏流京極氏の京極宗満(宗清)が近江国伊香郡黒田村に土着して黒田氏を称した後、京極氏の有力氏族として活動するだけでなく室町幕府奉公衆(将軍の直参)として時に宗家と肩を並べるほどの勢いがあるも、黒田高政の時に将軍・足利義植の怒りを買って所領を失い、備前国邑久郡福岡に移住した後に播磨守護・赤松氏の弱体化に乗じて播磨に土着した。

 

 となっています。この高政より3代後が官兵衛孝高というわけです。官兵衛の父である黒田職隆が近隣土豪を従えるほどの政治的手腕があり、播磨の有力国人である小寺氏の家老となって小寺の性を名乗ります。この黒田職隆羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)にも見込まれて姫路城の留守居などを務めています。小説などでは突然現れた天才軍師のようなイメージがありますが、播磨の有力豪族としての仕官であり、スタートは父親の縁故というわけです。

 近江の黒田氏の存在は当時の史料にも出てきますし、館跡にある集会所を改築したときに「源宗清」と刻まれた御影石が発掘されたことからその存在は実証されました。

 

019kurodayakata『館跡は現在は公民館』

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『源宗清と刻まれた御影石』

黒田家譜の信憑性

 宗清に始まる黒田氏の活動は記録で追うことが出来るのですが、京極(黒田)政光が戦死した時に一度絶えます。この政光に隠し子がいてその子が備前に移住した高政というのです。ここで少し胡散臭くなります。高政が将軍義植の怒りを買った船岡山合戦の記述がある「江源武鑑」は偽書と言われていますし、移住したのが備前の佐々木氏を頼ったというのも不自然です。

 近江の京極氏は室町期には各地に一族が広がっていて備前にも加地氏という氏族がいたのはたしかです。太平記の後醍醐天皇を隠岐へ護送するくだりに登場するのが有名ですね。しかし高政の時代には加地氏は没落していて存在を確認することが出来ません。

 また、後に官兵衛を支える黒田24騎と称された譜代の家臣はほとんどが播磨土豪の系譜を持ち、備前の流れを組む者はいません。大河ドラマでも「元は薬売り」とその素性が出てくるように、黒田氏は薬商人として財を築いたと伝わりますが、「一所懸命」と土地が最上の価値観である中世の武士、ましてや近江源氏の名門である京極氏がいくら落魄したとしても薬売り商人になることはないでしょう。おそらくは河内の楠木氏のように正規の地頭ではない悪党と呼ばれた武装商人がその系譜の始まりではないでしょうか。

 黒田家譜というのは江戸期に筑前福岡藩の公式記録として、福岡藩士・貝原益軒が書いたもので、ようするに「黒田家バンザーイ!」というコンセプトであり、近世大名の多くが出自を源平藤橘の貴種につなげたように、この黒田氏の系譜も創作された可能性が極めて高いと言えます。兵庫県黒田荘町黒田(現:西脇市)で発見された「黒田氏系図」の研究がすすめば、もう少し実態がわかるのではないでしょうか。

 現在のところ黒田官兵衛についてこの黒田家譜以外に目立った史料はなく、秀吉の軍師という肩書きをはじめとしてその多くが実証されていません。NHK大河ドラマ史上最大のファンタジーであった「お江」以上に、想像で何でも付け加えることが出来るのも官兵衛の魅力?なのでしょうか。

樹徳寺

 元は黒田村にあった黒田氏の菩提寺は明治期に現在の地に移転していて、寺内には黒田家代々の墓もあります。現代でも黒田家当主は定期的に訪れるそうです。

 

019jutokuji『黒田氏代々の墓』

黒田氏館周辺の地図

近江源氏・佐々木氏流黒田氏発祥の地。現在は公民館に石碑や看板が整備されている。

近江黒田氏の菩提寺。明治十一年に現在の地へ移転した。

現地に駐車場があります。

 

おわりに

 来年の大河ドラマ「黒田官兵衛」、史料の裏付けが無いのはドラマ製作としてはやりやすいのかもしれませんが、誤った官兵衛像が定着してしまわないかどうかは歴史ファンの共通した悩み。大河ドラマの影響力は強いだけに少し心配されます。

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滋賀県
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