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対馬で城跡や史跡を訪ねてみた(1)【日本最高の古代山城・金田城】

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 離島の史跡めぐり第三弾は国境の島・対馬(長崎県)です。

対馬の町並み『対馬の街並み』

 対馬へは2008年、2010年と過去2度訪れていますが、古代の山城から近代の要塞まで多彩な史跡を見ることが出来る素晴らしい島でした。この島へ渡るには福岡もしくは長崎から飛行機で飛ぶか、博多港からジェットフォイル(高速艇)やフェリーにて海路を行くかの選択になります。

 飛行機だと前泊することになりますが、船の場合だと出航時間が遅いので当日入りも可能です。私は一度目の遠征時に飛行機で対馬入りしましたが、新聞を読み終える頃には着く感覚ぐらいの短時間フライトでした。

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金田城

 城仲間数名と対馬空港へと到着した後、レンタカーを借りて向かったのは、豊富な史跡が残る対馬の中でも最高の遺構が見られる朝鮮式古代山城・金田城です。

朝鮮式古代山城とは

 朝鮮式古代山城とは、天智二年(660年)に朝鮮半島で起こった新羅と百済の争いに対して、百済救援のために派遣した軍が白村江にて唐・新羅連合軍に大敗した結果を重く見た天智天皇が、北九州から瀬戸内海沿岸近くに築かれた防衛ラインの城郭と伝わっています。(下記の表を参照)

 対馬の金田城をはじめとして、各地に今も遺構が残っている古代の山城は、白村江敗戦後の緊張感を表すかのように山全体を石垣をめぐらせた堅固な山城となっています。

 同じ時期に古代山城と同じような目的で築かれた城郭としては、神籠石も同様の目的であったと伝わりますが、朝鮮式古代山城が日本書記にも「天智四年(665年)、長門国、大野、基に城を築く」と書かれているのに対して、神籠石については記録にはまったく残っていません。

石城山神籠石は古代山城・神籠石の中でも屈指の遺構が残っている見所満載の城郭(山口県光市)

神籠石は日本書紀や古事記にも登場しない謎の城郭で、城郭説と霊域説での論争が続いています。神籠石の多くは九州地方にあるのですが、数少ない九州以外の神籠石である石城山神籠石(いわきさんこうごいし)は、水門や列石が大規模にかつ非常に良好に残っている見所満載の古代城郭です。また、同城内には幕末に第二奇兵隊の本陣が置かれていました。

jibusakon.jp

 滅亡した百済の技術者により、高度な築城技術が伝わった結果として生まれた朝鮮式古代山城は、日本が歴史上はじめて「国防」について意識したことを象徴していると言えます。しかし、1300年前に伝わったはずの石垣構築技法は、その後の日本からは姿を消してしまい、再びその技法が用いられるのは戦国時代後期まで時間を必要としました。城郭史上における疑問の一つではないでしょうか。

古代山城一覧

名称所在地
鞠智城熊本県菊池市
基肆城佐賀県基山町
金田城長崎県対馬市
怡土城福岡県前原市
大野城福岡県大野城市
屋島城香川県高松市屋島
常城不明(備後国葦田郡)
茨城不明(備後国安那郡)
三尾城滋賀県高島市
高安城奈良県生駒郡平群町

 

金田城を歩く〜城壁から三ノ水門へ〜

金田城入口『金田城入口』

 県道から林道(通行注意)を走ると金田城の入口に到着します。駐車スペースから城域までは少し歩きますが、すぐに湾の奥に築かれた金田城の城壁が出迎えてくれます。

城壁

城壁2『海岸線に伸びる城壁がお出迎え』

 最初に目にするこの城壁は圧巻です! 山腹の城域から海岸線までを防御する城壁は、他の古代山城でも見られますが(大野城の百件石垣など)、金田城の城壁は桁外れの規模で築かれています。

 そして、古代山城によく見られる水門。まずは三ノ水門からの見学になります。排水溝をはじめとして、1300年も昔にこれだけの技術があったのは驚きです。

三ノ水門

三ノ水門2『三ノ水門』

金田城を歩く〜土塁から掘立柱建物、二ノ水門へ

 金田城には石造りの城壁だけでなく、土塁による防御も施されています。城域内には掘立柱建物跡もあり、大人数の兵が駐屯していたことが窺えます。

土塁『土塁』

掘立柱建物

掘立柱建物柱跡『掘立柱建物跡』

 二ノ水門は崩壊が激しく、大規模な修復作業がされていました。

二ノ水門

二ノ水門2

二ノ水門3『二ノ水門』

金田城を歩く〜一ノ水門〜

 水門の中でも、最も遺構の残存状態が良いのが一ノ水門です。ほぼ原形を留めている姿は、金田城の中でも見所の一つではないでしょうか。

一ノ水門

一ノ水門2

一ノ水門3『一ノ水門』

 とはいえ、正規ルート以外にも多くの遺構が残る金田城には危険な箇所もあるので注意が必要です。この一ノ水門を過ぎると、海岸沿いの急峻な坂を登って山頂へと歩きます。ここが一番の難所、キツい登り坂は覚悟してください!

金田城から海峡を望む『金田城から海峡を望む』

金田城を歩く〜近代砲台から城壁へ〜

 金田城の最高所には、日露戦争時に築かれた砲台や砲弾庫跡が良好に残っています。城跡全体がトレッキングコースにもなっているのですが、その道の多くは日露戦争時の軍道を利用しています。

砲台跡『砲台跡』

軍道『軍道跡』

 古代の663年に築城されて防人が置かれた金田城に、近代日本を象徴する日露戦争(1904年開戦)に備えて築かれた、明治近代要塞跡が残っている光景はなんとも不思議です。そして、この要塞跡を過ぎた最後もまた山上から海岸線へと続く城壁がお見送り、もうお腹いっぱいの遺構の数々でした。

城壁2『城壁』

金田城の周辺地図

おわりに

 見学に軽く3時間を所要する金田城は、日本に残る古代山城では間違いなく最高の遺構が残っています。古代山城では福岡県の大野城が日本100名城に認定されていますが、圧倒されるのは間違いなくこちらの城跡。

 古代に伝わった石垣の技法は、なぜかこの後の歴史において消えてしまいました。その失われた古代技法は、戦国期や江戸期の城郭とはまた違った魅力があります。1300年前も昔に築かれたとは思えない高度な技術が用いられた城跡は、城郭ファンで無くても1度は是非訪れてみてください。(この記事は続きます)

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城好きのマンホーラー。日本各地(時には海外へも)の城跡やマンホールを訪ねて旅をしています。100名城スタンプは2冊目に挑戦中。最近は離島の城跡や、琉球王朝関連史跡にはまっています。

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